コーヒー豆の4つの精製方法とは?

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コーヒーノキから白い花が咲くと、サクランボのようなコーヒーチェリーが実をつけます。私たちが良く知るコーヒー豆は、コーヒーチェリーに身を隠した種子が正体。これを焙煎すると、香り高いコーヒー豆が出来上がるのです。今回はコーヒーチェリーから果肉や殻を取り除いて種子の状態にすること、つまり精製についてご紹介します。

コーヒー豆の精製方法(プロセシング)とは

コーヒーチェリーの構造は外側から、

1 外皮→2 果肉→3 粘液質(ミューシレージ)→4 パーチメント→5 シルバースキン→6 種子(生豆)という具合に、生豆は包まれています。

コーヒー豆の精製は4のパーチメントまで取り除くことが目的ですが、その方法にはいくつか種類があります。

これからご紹介する4つの精製方法は、それぞれがコーヒー豆の品質や味わいに大きく影響していますよ。

ウォッシュド(水洗式)

ウォッシュドは最も広く用いられる精製方法。果肉除去機を使って果肉を除去した後、発酵槽に漬けて粘液質(ミューシレージ)を取り除きます。その後大量の水を使って洗い流し、乾燥棚に広げて乾かします。ウォッシュドで精製されたコーヒー豆はクリーンな味わいが特徴。

また欠点豆が出るリスクが少なく、均一性があって質の高いコーヒー豆が生産できます。しかし大量の水が必要なため、地域によっては不向きな方法です。また発酵槽の排水による環境汚染などが問題視されることも。近年は浄化してから排水するなど、工夫の必要性が問われています。

スマトラ式

スマトラ式はインドネシア・スマトラ島で行われる伝統的な精製方法です。現地ではギリン・バザーとも呼ばれています。スマトラ式はコーヒーチェリーを収穫して果肉を取り除いた後、粘液質が付いたまま半乾きの状態にします。そしてパーチメントを取り除き、再度乾燥。

スマトラ式以外の精製方法では、パーチメントを取り除くタイミングは出荷の直前です。しかし雨が多いスマトラの地域では、早く乾かすために乾燥の段階で脱穀を行います。これが大地や土を思わせる、スマトラ産独特のフレーバーを生む理由と考えられているのです。しかし柔らかい生豆のまま乾燥させるため、変形したりカビが生えたりと欠点豆ができやすいのが難点です。

パルプド・ナチュラル(ハニープロセス)

パルプド・ナチュラルとハニープロセスはほとんど同じ精製方法ですが、前者はブラジル、後者は中米のコーヒー豆に対して使われています。果肉を取る工程はウォッシュドと同じですが、粘液質は取り除きません。そのまま天日干しにすることで、粘液質が持つ糖分や酸味が生豆に染み込みます。そのため甘みや透明感を感じられる味わいに。この精製方法は大量の水や発酵槽を必要としないため、近年注目されつつある精製方法です。

また中米コスタリカでは、粘液質を除去する割合によってハニープロセスを区分しています。それらは「ホワイトハニー」「イエローハニー」「レッドハニー」「ブラックハニー」と呼ばれ、後者になるほど粘液質の量が多くなります。

ナチュラル(乾燥式)

ナチュラルはコーヒーチェリーをそのまま天日干しにした後、脱穀によって生豆を取り出す最もシンプルな精製方法です。ナチュラルのコーヒー豆は、何といっても果実味にあふれたフレーバーが特徴的。果肉の香りや甘みが生豆に染み込み、フルーツのような甘酸っぱさと香りを感じられます。

ナチュラルの精製方法が多い国は、主にエチオピアやブラジル。ナチュラルは気候に影響を受けやすい反面、水の少ない地域でも精製が可能です。丁寧にコーヒーチェリーを転がすことで、腐敗を防いで品質の高いコーヒー豆ができあがります。

コーヒー豆の精製方法は味わいと繋がる

コーヒー豆の精製方法を4つご紹介しました。それぞれの特徴は味わいにも反映されていましたね。これまで精製方法について気にしていなかったという方も、ぜひこれからのコーヒー豆選びの参考にしてはいかがでしょうか。

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